憧れの南アルプス! 甲斐駒ケ岳(2967m) 1日目

 昨年の1月に鍋割山に登頂した際、山頂から真っ白に雪を被った南アルプスを見たときから、「いつかは行ってみたいなあ」とぼんやりと思い始めていた。 その山は後で山座同定すると「北岳、間ノ岳、農鳥岳」の白峰三山だったわけだが、その時はまだはっきりそれに決めていたわけではない。
 
 そして今年の1月、清八山に登ったとき、ぼんやりしていた「南アルプス」の目標は具体的な形をとり始める。真っ白に雪を被った白峰三山から少し離れたところにある、ピラミッドのようにとんがった黒い山に目が吸い寄せられた。 

甲斐駒
中央やや右のとんがり山が甲斐駒

 甲斐駒ケ岳 2967m。 とにかく遠くから見てもカッコいい山容。冬なら塔ノ岳や鍋割山からも見えるというのがポイント高い。そして日本100名山のひとつで、登っている人も少なくないので自分でも何とかなるだろう。というわけで、丹沢縦走の後の最大目標として、夏に登る山第一目標になったはずだった。

 しかし、世界遺産になった富士山を「こういう機会にでも登っとかなきゃいつ行くかわかんないし」という理由で優先したら、その後ここ数年の恒例行事である気管支炎を患った上、夏休みをうまく取れないまま時が過ぎていき、夏の山行にいけないまま8月が終わってしまった。

 しかし甲斐駒だけはなんとしても今年中に登っておきたい!・・・というわけで9月の暇な日に2日だけ休みを取り、夏休みの代わりとして甲斐駒に向かうことにした。 
 ちなみに南アルプスは7月あたりが高山植物の開花で一番いい時期らしいのだが、今年は戻り梅雨などもあったし、晴れた日は晴れた日で暑すぎて水を多量に消費し熱中症になりかけたなどという話も聞くから、登りやすさだけを考えたら9月でむしろよかったのかもしれない。

 そして迎えた9月中旬。 好事魔多しの諺どおり台風が襲来し南アルプス林道が閉鎖。翌日にも中央本線の
脱線事故などもあったが、前日夜には無事復旧し後顧の憂いなく出発することができた。 

 早く家を出たため、最寄り駅からの電車も、高尾駅乗換えの電車も予定より早い便に乗ることができた。 ちなみに中央本線は長時間乗るのでアイマスクと耳栓を装着し仮眠しようと思っていたのだが、隣に座ったご婦人がよりによって同じく甲斐駒を目指すハイカーで話が盛り上がってしまい寝そびれてしまった。 今日はあまり長距離を登らないのではあるが、寝不足は少し不安だ。

信玄
甲府駅前の信玄像

 予定より早く甲府駅に着いたので、バスを待つ間コンビニでおにぎりとスイーツを購入し、少しだけ水を補給しておく。山に入るとゴミを捨てられないので昼飯には早いがおにぎりを食ってしまう。 山小屋の晩飯は早いしまあいいだろう。 

 山梨交通のバスで甲府駅から広河原。 広河原からは山梨市営バスに乗り換えて舗装されていない林道を激しく揺られながら進む。 そういえば春に鷹ノ巣山に登った際、奥多摩線で乗り合わせた登山者に「甲斐駒だったら早出すれば甲斐駒と仙丈のダブルでいける」とアドバイスを受けたのであるが、それは後で調べたら朝4時過ぎに甲府駅発のバスがある土日だけの話であった。そのバスに乗るには前日夜のうちに甲府入りして駅前のビジホに宿泊する必要もあって、土日が休めない自分には難しいプランなのである。
 なお、山梨交通のバスは平日で3本、登山者の多い土・日祭日でも一日4本しかない。平日も朝4時のバスがあったり、甲府に戻る遅い時間のバスが多ければダブルで登るスケジュールもありかもしれないが、なんでも自然保護の観点から南アスーパー林道の1日のバス本数は規制されていてこれ以上増やすことができないんだそうである(マイカーは芦安駐車場までしか入れない)。

切符
山梨交通の切符。 下車時に回収されるのでお土産にはできない。

広河原
広河原 北岳に登る場合はここが基点


 まあそれでも結構自然を痛めつけて開かれたであろうスーパー林道を利用することで昔よりはるかにアプローチが楽になったんだからこれ以上贅沢は言えねえよなあ、とひとりごちつつバスは北沢峠へ向かう。ちなみに山岳信仰の時代は黒戸尾根のほうが表参道で、そちらは現在健脚・上級者向けとなっているのだが、登山口までの路線バスは廃止されており土日祭日の臨時の登山バス(催行されないこともある)か乗り合いタクシー、マイカーでないとたどり着けない。 

バスからの甲斐駒
甲斐駒と摩利支天が見えてきた!

 「アサヨ峰は時計がないほど貧しい炭焼き小屋の人たちが日照たりで朝夜の時計代わりにしていたからその名前がついた」とかの車掌さんの薀蓄にふんふんとうなっているうちに北沢峠に到着。 平日とはいえ台風が来ているうちに乗り込んだり長期滞在で山をいくつも縦走した人たちでかなりの人出である。 今日の目的地はここから40分ほどの山小屋だが、晩飯が早く、3時までにはチェックインして欲しいとのことなのでトイレと柔軟体操を済ませたら早々に出発した。

北沢峠
現在主流の登山口、北沢峠
 
 
 
 
 
 この辺は林業の盛んな山と違い、シラビソ、カンバ、コメツガなどの原生林で光が入りやすく明るい感じがする。そして山の雪解け水が沢になっているのか、登山道脇にきれいな沢が流れている。 山荘までにはその沢にいくつも堰堤が設けられているのだが、まるで火口湖のように澄み切った水が湛えられている。 ただの堰堤の堰き止め水なのに息を呑むほどの美しさであった。

堰堤

 40分近く歩いていたはずなのだが、感覚的には10~15分ぐらいだろうか?明るい林ときれいな沢に見とれているとあっという間に山小屋に着いてしまった。

仙水小屋


 小屋の前にはパイプから水が流れていた。 コップが据え付けられているので一杯飲む。

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

つっめたい!しかもおいしい。 ほんまもんの、煮沸もなんもしてない南アルプス天然水。神津島の湧水に勝るとも劣らぬうまさだ。思わず2杯3杯とガブガブ飲んでしまった。 パイプには板が下げてあってこう書いてある。


水


うーむなるほど。しかしまだ少し暑さが残るこの時期だとこの冷たさがありがたい。 結局甲府駅でウォーターキャリーに汲んだ水は全部ぶちまけてこの水を詰めなおし、スポーツドリンクもこの水で作ることにした。

 水汲みを済ませて明日の準備をしてしまうと後はもうやることはない。40分ほどしか歩いていないのでマッサージするほど疲れてもいないし、ぐっすり眠ってしまうと夜また眠れなくなってしまうのであんまし仮眠もとりたくないのだ。 

 「明日は直登で行くか、巻き道か」「摩利支天は行くか行かないか」の検討はしておいたほうがいいのだが、「まあいけるだけ行ってみよう」という大雑把な結論しか出せなかった。 帰りのバスの時間を考えたら
「何時までに山頂に着けなかったら摩利支天は諦める」ぐらいの時間を決めておいたほうがよかったのだが・・・。

 ぼんやりと同宿者の装備のパッキングを見ていたら、ガイドブックの必要なページだけカラーコピーしてビニール袋に入れているのが目に入った。 自分は初めての山だと地図のほかにガイドブックも持っていくことがあるのだが、なるほどこういう風にすればいいのか、といまさらながら感心してしまった。 考えてみれば読まないページのほうが多いんだからあんな重い本持っていく必要はないのだ。次からは自分もそうしよう。

 
 4時過ぎに夕食が始まった。 この山小屋は好天時は外のテーブルで食事が供されるのだが、山小屋らしからぬ豪華な食事が評判でまるでパーティのようである。おかずは山なのに刺身!天麩羅!フルーツもつく!お茶とご飯のお代わりもOK! ここまで違いすぎるとレトルトカレーとお茶一杯ずつの富士山は何なんだ、とどうしても比較してしまう。 まあ高度障害が出始めてるところでこんな豪華なメシ出されても食えはしないのであるが。

夕食
 

 食後すぐに歯を磨いたら満ち足りた気分で部屋に戻り、速攻で布団にもぐりこむ。 峠で日の出を見られるように逆算した時間に朝食が提供されるので食後はさっさと寝ないといけないのだ。 2000m程度では高度障害の症状が出ることもなく寝付き自体はよかったのだが、いったんトイレに目が覚めた後が問題であった。 隣にいた同宿者が耳栓をも突き抜けるすさまじい鼾の発生源だったのである。結局その後は断続的に襲ってくる鼾でなかなか眠りにつけなかった。
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

No title

Piccoliさん、こんにちは。

遂に始まりましたね。中央アルプスや南アルプスの山にはまだ何処も登ったことがないんで、興味津々です。

レポの続きを楽しみにしています。

No title

Morosawaさま こんにちわ

初日のマッタリ感と2日目の緊張感のギャップが激しくて2日目がなかなか書き出せないでいます。一気に2日分書いてしまうつもりだったのですが。今後山行される方の参考になるようなものが書けると良いのですが。
プロフィール

piccoli

Author:piccoli
 自転車、釣り、スノーケリングにハイキングとアウトドア遊びばっかしてる不良中年です。 主な出没地域は三浦湘南、真鶴に奥多摩周辺。 

カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
カテゴリー
月別アーカイブ
ブログ内検索
最近の記事
最近のトラックバック
最近のコメント
リンク
フリーエリア
にほんブログ村 自転車ブログへ にほんブログ村 自転車ブログ ツーリングへ にほんブログ村 釣りブログへ にほんブログ村 釣りブログ 波止釣りへ にほんブログ村 マリンスポーツブログへ にほんブログ村 マリンスポーツブログ シュノーケリングへ
RSSフィード