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~岬の南端へ~   熱海~石廊崎

 昨年自宅から熱海まで自走で走ったので、その続きとして輪行で熱海まで向かい、そこを起点にさらに南へ向かって走るツーリングに出ることにした。 以前から伊豆白浜とかあの辺には行きたかったのであるが、今回ようやくそのチャンスが巡ってきた形だ。 ちなみにゴールは今井浜か下田、うまくいけば石廊崎まで行って下田に引き返してくるという予定だが果たしてどうなる事か。

 朝は早く起きたのだが、例によって準備が悪く熱海を出発したのは10時を回ってしまった。 しかも熱海駅を出てしばらくは国道沿いに出る道が判らずウロウロして無駄に時間を食ってしまった。 この辺一方通行が多いので往生する。追い打ちをかけるように晴れの予報のはずがどんより曇っておりなかなか意気が上がらない。
 
 好天なら紺色の海を左手に身も心も軽やかに・・・となるはずなのだが、3月のあの夜のコムラ返り以降左足が張った感じがいつまでも付きまとってなかなかパワーが出ない。 こんな調子なのでなるべく飛ばさず、軽いギアでチンタラ進むことにしたのでなかなか距離も伸びなかった。

小刻みなアップダウンと立て続けに表れるトンネルで身も心も少しずつ削られていく。新網代、御石ヶ沢、新宇佐美と次々に長いトンネルが出てくるので神経が磨り減らされてしまうのだ。

 走り始めて1時間を少し回ったところで古びた、しかし立派なホテルが眼前に現れた。 40代のおっさんにはコマーシャルが懐かしい伊東のサンハトヤである。

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海底温泉とか大漁苑とか興味はあるのだが、走り始めて間もないのに沈没するわけにはいかぬ。 しかも俺にはそんな金はないのだ。 これ以外にもさすがに観光地で食べるところも多そうなのだが、メシにはまだ早いので伊東の街はスルー。

 伊東で国道135号を通るか、海岸沿いの県道を通るか選ばねばならぬのだが、やはりここはキッチリ海岸線に近いところを走らねばなるまい。  多少アップダウンも少ないんではないかなと期待していたのだが、アップダウンもトンネルもしっかりあるうえ、右側には迫り出した崖が聳えているため威圧感から解放されることはなかった。 川奈港で一旦平坦な場所に出るが、うっかり行き止まりの川奈崎方面に進んでしまいタイムロス。  ここで12時を回ってしまったので適当な磯料理屋でメシにしてしまっても良かったのだが、まだそれほど腹が減っていなかったのとまだ先が長いのにここで時間を食いたくないという気持ちが勝りメシは後回しにしてしまった。 この決断は結果としては大失敗になるのだがそんなことは全く想像できるはずもない。

 伊豆急川奈駅近くまでの登りが思いのほかキツく早くも疲れてきた。 しかし線路沿いという事はそれからしばらくは平坦という事だ! そして次の街が来ると今度は急な下り坂だ。 登りの長さに比べて下りがすぐ終わってしまうのは割とよくある感覚だが、後でGPSログを見たら南下する場合は実際に長い登りと短く急な下りになっていたので只の錯覚ではなかったのだった。

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前方に見えるのは火山砕屑丘で有名な大室山

 川奈の次に降り立った海岸沿いの町は富戸という美しい漁港で、たしか以前会社の近くにあったダイビングショップはここをホームグラウンドにしていたはずだ。 ボートを改造した海岸沿いの露天風呂もあり真夏に来たらとても楽しめそうだったが、この曇天の下ではその美しさも3~4割引きだ。 雲一つない好天の時に来たらどれだけ美しいのだろうか・・・・

 富戸の南にあるのが城ケ崎海岸で、ココはフリークライミングとかボルダリングをやっている人なら知る人ぞ知るクライミングゲレンデである。 特に「マーズ」という超一級の難所があり、山野井泰史氏が初めてルートを開拓した後に第二登がされるまで20年を要したとか、まあとにかくそういうところなのだが、残念ながら国道は大きく海岸から離れ伊豆高原駅方面へ向かっているのだった。

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 さて、この辺まで走ってくると伊豆東海岸の大まかなパターンというのが判ってくる。 ダラダラ登り→トンネル→町の手前で急な下り→海岸沿いの町・海には海蝕奇岩→またダラダラ登り。 という感じだ。 海沿いの景色は好きなのだが、どよ~んと曇っているところに登りで何度も体力を削られるとだんだん「あーハイハイ判りました」と無感動になってくる。

 それでもふと海へ目をやると水平線近くに垂れ込めた薄い雲の上に伊豆大島の三原山が顔を出し、まるで空中に島が浮かんでいるかのように見えてなかなか素敵だったりするのだけど、やはりお天気屋の自分としては晴れていないとテンションが上がらない。 加えて今日は思いのほか肌寒く、とはいえウィンドブレーカーを出すほどではない…と中途半端な温度で、これまたテンションを下げる一因になっているのだ。 これが太陽が出ていて同じ気温なら、陽光で体が暖められ最適なコンディションのはずなのだが。

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 走行しているうちに大川の辺りでそろそろ昼飯を食っておいたほうが良い時間になってしまった。 ところがここで出迎えていたのが気の滅入る巨大な廃墟ホテルで、いっぺんで食欲をなくし通過。 実はこの前後にも食事のできそうな場所はあったのだが、どれもこれも屋号がやたらとでかく掛かれた同じ系列のチェーンや、新しいのに外装が妙に安普請というか貧乏くさい上にメニューがトンカツとかどこにでもありそうな店ばかりでどうにも食欲がそそらない。 古臭いぼろい看板で老齢の夫婦がやっていてうまいあら汁とカサゴの煮付けでも食わせる店はないのか!とイライラしてきてしまった。 チェーンは営業努力で大きくなったのだろうが、こう街道沿いに同じ店が何度も現れると「これじゃ何処で食っても同じじゃねーか」と思ってしまうのでよろしくない。 せめて看板や屋号、店の外観は変える様にしたらどうでしょう徳造丸さん。

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 そうして大川、北川、バナナワニ園のある熱川と通過し、稲取まで来たときには2時前になっていた。 ところで自分はこの「稲取」という地名と場所は大雑把に覚えていて、なかなかに良いところらしいというイメージだけは持っていたのだが、この町がポコンと突き出た岬にあり、道路はその付け根を通過しているという事までは把握していなかった。 んでもって温泉とか宿とか美味しい磯料理屋とかは海岸に近い方にあって、国道沿いには例によってドライブのついでにちょっと入れてくか、という考えの人間をターゲットにしているワンパターンの店しかないのだった。当然ここでも飯を食い損ね、ついに昼食もとらないままゴール候補の今井浜まで進むことになってしまった。

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 今井浜には「サンシップ今井浜」という日帰り温泉施設があり(後で調べたら潰れていた 今は舟戸の番屋という後継施設になっているらしい)、今は無き「サイクルフィールド」誌で素敵な海岸沿いの露天風呂がある事を知って以来ずっと行きたかったのだが、今の時間を見るに下田もしくは石廊崎まで行ってからここに戻ってきて温泉に入るというのはまず無理な感じである。 ここで走行を打ち切り先へ行くのを諦めて温泉に入ってしまっても良いのだが、100㎞に満たない下田にすら到達しないのはあまりにも情けないのと、どうせ海岸沿いの露天風呂に入るなら天気が良い時に夕日を眺めながら入りたいという気持ちが勝り、今日のところはスルーすることに決めた。  幼少時何となく来た覚えのある河津もなんという事も無く通過する。 

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正面に見えるのは天嶺山


 そしてまたじわじわと登り坂に入るが、ココの登りが恐ろしかった。 元々伊豆の海岸沿いの道路は余裕のない作りなのだが、ここはただでさえ道幅に余裕がない所に持って来てガードレールのすぐ下がスッと切れ落ちた崖で、うっかりふらついたり、居眠り運転したりスピード出し過ぎの車に追突されてガードレールを乗り越えたらそのまま数十~百mほど下の磯に叩きつけられ間違い無く即死!という場所なのである。 「伊豆の道路は路肩が弱い」とドライバーによく知られているが、そういえば伊豆大島近海地震でバスが崖崩れに巻き込まれたのはまさにこの辺りなのであった。

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 ヒヤヒヤしつつも時折止まって下を確認したりしつつ走るが、この辺まで来るとさすがに海の色が違ってきて曇り空の下でも水の綺麗さが良くわかる。 しつこいようだがこれが好天で、MTBでなくロードレーサーで、なおかつサポートカーがケツから来ていて後ろの心配をしなくてよかったらどれだけワクワクする走りになっただろうかと考えてしまう。 見下ろすと登ってきた高さが判るし、陸地は深い森の緑、海は澄んだ深緑青と間違いなく素晴らしい展望コースなのだが。

 崖沿いの怖さがかなり辛くなってきたいいタイミング「尾ヶ崎ウィング」というちょっとした展望台兼休憩スペースが現れ、トイレもあるので小休止を取ることにした。 自販機もあったのだが、ハイドレーションパックの水も十分残っているし、微妙に肌寒いので冷たいコーラを飲む気も起きなかった。 ここ数年5月に真夏のような暑さが襲来することもあるが、今日がそういう暑さだったらハイドレーションはすっからかんになっているか、余っていたとしてもここでコーラに飛びついていた事だろう。
 
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 尾ヶ崎ウィングをすぎると下り基調となり街が近づいてきたことがわかる。 この先にあるのは・・・伊豆白浜!

 以前友人と下田までドライブに行ったことがあるのだが、その時はちゃんと見るでもなく通過してしまったので今日こそはしっかりと見ておきたいと思った場所であった。伊豆半島はあまり行く機会が無いけれど、名前のイメージだけでもなんとなくいい眺望と雰囲気がありそうで楽しみではないか。

 そうして数年越しの願いがかない、ドライブの時とは比べ物にならない労力を使ってようやくたどり着いた白浜であったが、いくら綺麗な砂浜であってもドンヨリ曇り空に加えてかなり日が傾いてきたこともあって過大な期待に応えるだけのインパクトは与えてもらえなかった。 この天気に加えて自分は盛夏の伊豆諸島に何度も遠征して式根島の泊浦、新島の羽伏浦、神津島の前浜とまばゆい白砂の海岸をいくつも見てしまっているから評価が厳しくなっているのであろう。 とりあえず海岸で数枚だけ撮って先へと急ぐ。

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はれてれば・・ね

 結局、飯を食う間もなく下田まで行くことになってしまった。 もうこうなったら早めの夕食を下田で取るしかないな、と心に決めるが、下田到着は3時過ぎとなんとも半端な時間。おそらくランチタイムは終わっているし、夕食にもまだ早い。 ヨサゲな食堂には準備中の札がかかってるだろう。 ならばもう石廊崎まで行って戻ってきた方が時間的にはメシには良さそうだ。 ここまでチマチマ行動食はつまんでいたので、軽くなんか入れておけばどうにかなる。 吉佐美のファミマでシュークリームとコーヒー牛乳を購入しささっと燃料補給だ。 ところが、疲労が激しくて頭がおかしくなったか、ストローでコーヒー牛乳を飲んでいたのにそのまま口をつけて飲む時のにパックの飲み口を傾けてしまい、盛大にジャージとパンツにコーヒー牛乳をこぼしてしまった。 全く何をやっておるのか・・・。

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Author:piccoli
 自転車、釣り、スノーケリングにハイキングとアウトドア遊びばっかしてる不良中年です。 主な出没地域は三浦湘南、真鶴に奥多摩周辺。 

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