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大菩薩紅葉狩り

そろそろ紅葉シーズンだなーってことで行ってきました。
今回で3度目になる大菩薩。 今回は大菩薩嶺頂上へは行かず、峠から熊沢山方面に進路を取り、石丸峠の分岐から牛ノ寝通りというかつての生活道路を通り小菅村まで行くというルート。

電車で大月を過ぎたあたりからものすごい霧が発生し、ほとんど視界がなくなる状況でしたが、甲斐大和駅に着くとすっきり晴れて一安心。 ところでこの時期のみ上日川峠までのバスが出ているのですが、今日は紅葉シーズン、土曜日という事もあって臨時の増発バスが! 当初8:10のバスに乗る予定でしたが、早めに到着した7:45にはもう一本目のバスが出発セントス、というような状況。 トイレに行っていたためすでに満員で逃してしまいそうでしたが「上日川峠まであと二人!」の声がかかったので何とか乗ることができました。 自分の前には既に大勢待っていたのですが、皆4~5人のグループだったため乗るわけにはいかなかったようです。

バスは終点近くの駐車場に停められずに引き返してくるマイカー族との擦れ違いに難渋し、通常より少し時間がかかったものの無事到着。  車も人も既に大勢います。

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長衛荘の前にはキノコとリンゴが並んでいた。この時期だけキノコ汁がメニューに加わるみたい

長衛荘で水を汲み、柔軟体操、トイレを済ませて出発!既に二度通っていて、たいしてハードではないのが判っているので余裕綽々。

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福ちゃん荘

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福ちゃん荘から介山荘までは林道みたいなもん

富士見山荘で見事な富士山を見てしばしうっとり。 やはり頭に雪を纏っていると一気にいい感じになる。
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沢や苔むした石の脇を通り過ぎていくと早くも介山荘が見えてきた。 ここを登って行くのは二度目だが、最初の時よりだいぶ短く感じる。 足が思いのほか調子がいいようだ。 

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 介山荘の売店を通り過ぎ大菩薩峠に出ると大パノラマが広がった。 1月に訪れた時はさらに眺望のきく上の雷岩側から降りてきたのと、帰りの時間が気になって気が急いていたこともあってあまり眺望を堪能した記憶はなかったが、こうやって見るとやはり素晴らしい。 南アルプスと甲府盆地が一望なのだ。 そういえば去年の今頃初めて来たときには晴れてはいたけれど靄というか霞がかかっていて遠方はあまり見えなかったのだ。 今日はその分を一気に取り返した感じだ。

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なんとなく大菩薩嶺から丸川峠へ降りるほうに気持ちが傾かなくもなかったが、今日は牛ノ寝通り!とピシッと鞭を打って皆とは反対方向へ歩を進めた。

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大菩薩からだと熊沢山の北側斜面を登って行くため、日陰で湿った道をしばらく行く。 あそこまで苔むして緑の絨毯になっているわけではないが、丸川峠へ降りる道と何となく雰囲気が似ている。 それでも山頂から南側の稜線に出てしまえばまたご褒美のような素敵な景色だ。

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むこうに見えるのは天狗棚山

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石丸峠まで降り、ふと振り返るとさっきまでいた熊沢山と下りてきた道が見える。 こういう風にこれから進む道や通ってきた道がくっきり見えるというのは励みになるというか、何とも気分が良い。 ずっと樹林帯の中を通って行くだけとは違った醍醐味がある。

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石丸峠から少し先へ進むと今日の本番というかテーマである牛ノ寝通りと小金沢連嶺の分岐が現れる。 そのまま牛ノ寝通りに進んでもよかったのだが、目の前にあるピークは10分かそこらですぐに行けそうだし、ちょろっと気になったので寄り道してみることにした。 この先大菩薩に来ることはあってもこちらへはあまり来なさそうだし、この機会に寄れるだけ寄ってしまえ!と思ったのだ。 体力が余ってる序盤のうちならこのくらいの寄り道はできるが、後半になると日が落ちる前に早く降りなきゃとかバスの時間が気になって寄り道する気が起きないからね。ちなみにこの小ピークは山頂標識はないが、「天狗棚山」という。

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天狗棚山頂上から熊沢山を振り返る

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tag : 登山 大菩薩峠 小菅の湯

行くぜ木曽駒!中央アルプス!(4)~宝剣山荘~伊那前岳~北御所&駒ヶ根でおっかいもの~

 夜中に物音がしたような尿意を感じたような気がして一旦目が覚めた。 だいたいこうやって目が覚めると今度は背中が痒くなったり尿意が強くなったりして完全に目が覚め、トドメに同室の登山者の凄まじい鼾で安眠を妨害され再びの眠りに付けない・・・というのがよくあるパターンだと思うのだが、この時は同室者が鼾どころか呼吸をしているのかと思うくらいに寝息の音も聞こえてこず、再び凄まじい眠気が大軍を率いてやってきてふと感じた尿意も押しつぶしてしまい再び深い眠りの世界に落ちてしまった。

 次に目が覚めた時は割とはっきりした物音がしたこともあったのだが、既にこれ以上眠れないと体が判断したようでもあった。 一人や二人の物音ではないのでどうやら同宿の団体さんであろう。  ドアの隙間から漏れる明かりを頼りに腕時計をまさぐってみると午前5時。 なんと10時間も眠りを貪っていたことになる。 さすがにもう寝る気になれないので同室者を起こさないようにウェアを着込み洗顔に出かける。 どうやら前日の予報(曇りのち雨)と違い外はスッキリ晴れているらしい。 団体さんはどうやらご来光目当てで外に出ているようだ。  食事は6時からで多少余裕があるし、せっかくなので自分もご来光を拝もうとカメラとウィンドブレーカー代わりのレインウェアを羽織って表に出た。

 団体さんは宝剣岳の取りつきの方へ行ったようだが、和合ノ頭(2911mピーク)からだと朝日に染まる宝剣が良い感じで撮れるとこの本↓

に書いてあったので向かった。ところが登山道は予想と違い和合ノ頭の頂上を巻いており登山道から外れてゴツゴツの岩場を登らないと写真を撮るのに適したピーク出られない。 おまけに三脚を忘れていたので何か適当な台が無ければ手持ちで撮らざるを得ず、この能力の低いコンデジでは手振れがひどいことになりそう。 無駄足になってしまったが、ここはあの団体さん同様宝剣岳の取りつきに移動した方が良かろう。 そうこうしているうちに太陽が出るあたりにくっきりと南アルプスと富士山のシルエットが浮かび上がった。 

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 移動のタイムロスが心配だったが、早めの決断が功を奏したか空はオレンジ色に染まりだしたものの太陽はまだ顔を出していない。空の色からして向こうが平地ならもう出していてもおかしくないのだが、丁度南アルプス、しかも甲斐駒の陰になっているので少し遅れているようだ。
 
 ふと後ろを見ると御嶽山がモクモクと煙を上げている。 つい数日前に起きた噴火と惨劇を思い出して複雑な気持ちになるが、雲海から頭を出している御嶽山はただただ美しかった。
 再び南アルプスの方に目をやると、まさに甲斐駒ケ岳の頂上の辺りから太陽が顔を出した。 ダイヤモンド富士は聞いたことがあるが、ダイヤモンド甲斐駒とは・・・。

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 チラと宝剣岳を見上げると少し赤く染まっているが、それほど鮮烈ではない。おそらく甲斐駒の頭越しになるまで登っているのであまり強烈なモルゲンロートにならないのだろう。 アサヨ峰との間のちょうど凹んでいるところ(仙水峠)から太陽が出る時期だともう少し鮮烈に染まりそうだが、その時期はいつごろだろうか・・・。

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 再び御嶽山に目をやると雲海と噴煙がピンク色に染まり、筆舌に尽くしがたい美しさを醸し出していた。 あの恐ろしい噴火と、この美しい姿、どちらも自然の顔なのだろう。 噴火から5日が経過し、行方不明者の生存は絶望的ではあったが、今はただ行方不明者が一刻も発見されることを祈るしかない。

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 ある程度日が上がったところで丁度朝食の時間なので山荘に戻る。 メニューはにっぽんのただしいあさごはん! ご飯、味噌汁、塩じゃけ、卵焼き、海苔! 元々朝は食が細いのでご飯のおかわりはせず例によって味噌汁だけおかわりをする。

 食後、準備を済ませていよいよ出発する。 準備中に気が付いたのだが、向かいのベッドに入っていた同宿の登山者はなんと自分と同じサウスフィールドのジャージを着ていた。なんか変態の同好の士を見つけてしまったような恥ずかしさだ。
「秋用で暖かいし安いし良いんですよねええええ」と選択のポイントまで同じなのだから・・・。

 団体さんが濃ヶ池か中岳方面へ行くのを尻目に自分は東の伊那前岳の方へ向け歩き出す。 当初は自分も濃ヶ池に回る予定を立て登山届にもそう書いておいたのだが、天候が崩れるという予報で雨の中長時間下山するリスクを取りたくなかったので濃ヶ池を取りやめ少しでも下ってしまうことにしたのだ。 しばらくは稜線歩きなので眺望は広がっているのだが、これがまた「いい眺め」というレベルではない凄まじい絶景だった。 ざっくり切れ落ちているというほどではないが、両側ともかなりの傾斜の上、進行方向やや下には雲海から広がっており、南アルプスの高峰が顔を出しているだけなので、まるで雲の上を南アルプスに向かって歩いているような気分になる。

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 そして右下を見ると千畳敷がまるで箱庭のようだ。 前方やや左側には八ヶ岳、左手やや後ろ気味には北アルプスの高峰、後ろをぐるっと振り返ると宝剣岳がまた昨日と違った姿を見せる。 少し進むごとに写真を撮り出すのでなかなかペースが上がらない。 しばらく前へ行きふと振り返ると、宝剣の向こう側、滝入ノ峰のあたりだろうか。 稜線の向こう側から湧き上がってきた雲が千畳敷の方へ滝のように流れ落ちていく「滝雲」が見え、思わず立ち止まって見入ってしまった。

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 伊那前岳は一応ちゃんとピークがあるのだが、巻き道の方が自然に見えるので漫然と進んでいたらうっかり通過しそうになってしまった。 すこし前を歩いていた登山者夫婦が突然いなくなったのでどうしたのかと思ったら高点の方に上がっていたので気が付いたのだが、1人だったらぼんやりして通り過ぎていたかもしれない。 高点に上がると北ア~八ヶ岳~南アルプスが遮るものなく広がる絶景だ。  この夫婦はここで引き返していった。濃ヶ池の方へ回るか、千畳敷に降りるのかもしれない。 
 
 さらに先へ進むと七合目。 ここでまた何度も自画撮りを行っていたら今度は別の夫婦に追いつかれたが、こんなことを聞かれたので思わず仰天してしまった。
「濃ヶ池の分岐ってまだですかねえ・・・」
 濃ヶ池への分岐って浄土乗越、つまり宝剣山荘のすぐ前であるが、この夫婦は北東に進むべきところを和合ノ頭の方に進んで、そのまま伊那前岳を越えてここまで来てしまったのだった。
「このまま進むと北御所まで降りちゃって濃ヶ池に出ませんよ」
とんでもないエネルギーとタイムのロスであるが今ならまだ取り返せない事も無いという判断だろう、ややがっくりきたようだったが、夫婦は来た道を引き返していった。 

 (なんでこんなとこ間違えるかなあ・・・)と疑問に思わなくもなかったが、我が身を振り返って赤面した。自分もこれまで何度も「まっすぐ行っちゃう病」でやらかしているではないか。 特に丹沢では行程の1/3をまるまる変更する羽目になったわけで、これはやらかしがちな自分への警告とせねばなるまい。

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 が、アタマの処理能力が低いとこういう警告を受けた途端に今度は他の事がお留守になるのであろうか。 七合目の何でもないところで正しい道ではない踏み跡に進んでハイマツの林の中に踏み込み、あわや急斜面で身動きが取れなくなってしまうところだった。  正規のルートを見落とし、右側の不明瞭な踏み跡に突っ込んだうえ、ハイマツが生い茂り道が無くなっているのに少し向こうに見える切れ目を踏み跡と誤認しやぶの中に突っ込んでしまったのだ。 少し言い訳をすればおそらく自分以外にも同じミスをやらかした人間が何人かいたからそういう切れ目のような踏み跡ができたのだろう。 その証拠にハイマツの枝には飲料ではないプラスチック製の何かの容器が落ちていた。 さすがにいっぱいいっぱいなので拾う余裕はなかったが・・・。

さらにもう一つの不明瞭な踏み跡を頼りに大岩の脇にも入ったが、ここもハイマツで進めず、おまけにストックを無くしそうになって万事休す。 「さすがに学校登山でよく使われるはずの道なのにこんな斜面を通るのはさすがにおかしい」と気づいたが、気づかずにおればこれまでの失策の中で最大級のものになるところだった。あのままもう少し進んでさらに急斜面になってハイマツが切れているところに進んでしまえば千畳敷への斜面を転げ落ちていったかもしれないのだ。

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この岩の前にいる時点で正規ルートを外れています。同じ景色を見てしまったらさっさと引き返しましょう

 とりあえず元の場所に戻ってから落ち着くとやはりなんでもない左側へ折り返す道を見落としていた。 このつまらぬミスのせいで2~30分ほどロスしてしまったが、気が立った状態で行動を続けるのもどうかと思いエナジーバーの残りを口に詰め込んで水を飲み少し気を落ち着かせる。 

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こっちが正しい道

 リカバリーできたとはいえこうした道迷いのあとは胸糞が悪くなってしまうものだが、見える景色はあくまでも美しく、「反省」の二文字はあっという間に頭から消えてしまう。 七合目の下からすこしづつ樹林帯になって、また美しく色づいた錦秋のトンネルを通る楽しい道になるのだ。 真上を見上げると赤と黄、そして空の青が鮮烈だ。

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 このころになると木曽駒の頂上稜線から雲がどんどん降ってきて北アルプスの方は隠れ始め、また南アルプスの方もだいぶ雲が多くなってきてしまったがまだ上の方は青空が広がって太陽が照っているのでありがたい。 そのまま下降を続けるが、少しづつ木が高くなってきたので少し気になりザックから熊鈴を取り出しぶら下げる。 樹林のない稜線では煩わしいので付けなかったが、これから高度を下げるごとに熊のリスクは上がるだろう。

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一丁ヶ池は水量少なく、淀んだ沼という感じ

 一丁ヶ池の辺りまで来ると頭上にまで雲が覆い始めてきた。 ここまで快晴のツキに恵まれていたが予報では雨なのである。 できれば降り出す前に北御所まで下ってしまいたいので少しペースを上げる。 六合目より下の樹林帯に入ってしまうとこれまでのような絶景ではなくなるし、紅葉でもないので写真を撮ることも少ない。 足場も悪くないしここからは迷うような道でもないので段差での転倒にさえ気を付ければキビキビと降りることができる。 
 
 昨日の夕食後のアミノバイタルが利いたのか、マッサージが良かったのか、長丁場だった昨日の疲れはほとんど持ちこしていず、左足の脹脛が多少張っている程度で済んでいた。 膝にも痛みはないし驚くほど好調だ。 当初の予定ではまず濃ヶ池を回るプランだったため2時までに下山できれば御の字であったが、この分だと道迷いを含めてもコースタイムより早く、正午ぐらいに北御所にたどり着けそうである。

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 気温が思いのほか高く、朝からずっと強い日差しを浴びていたこともあって下りなのに思いのほか水を消耗し、うどんや峠で最初のハイドレーションパックの水を飲みほした。 ただこの先大した距離ではないのでエナジーゼリーを啜って水分補給の代わりにして、さらに清水平までぐんぐん飛ばしていく。 清水平には水場があったはずだ。

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 清水平の水場は福島Bの四合目半力水とは違いパイプからじょぼじょぼと水が出ていて頼りになる水量であった。 手に取って飲んでみるとやはりキリリと冷えて美味い! この水を活用しないのはもったいないのでもう一つのハイドレーションパックとペットボトルに入っている水は全部捨てて、ここの湧水をたっぷり汲んでいくことにする。 バス停まではもう1時間かそこらなので水はそれほど必要ないのだが、余った水は持って帰ってコーヒーを淹れるのに使えば無料のいいお土産になる。 普段の山行では駅まで自転車でけっこうな坂を越えないといけないので下山したら余った水は捨ててしまうのだが、今日は家の傍までバスだからそんなに気にする必要も無いのだ。

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蛇腹沢登山口 ここで登山道はおしまい

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  多少重くなったが無料のお土産に気を良くして再び歩き出すとすぐに蛇腹沢登山口に出る。 ここからは幅の広い未舗装林道で、多少の渡渉などはあるがもう「人間のテリトリー」「安全圏」に入ったと実感できる。 もう多少天気が悪くなっても風が吹いても低体温症になる心配は少ないし、滑落するようなこともないのだ。  その代りさして見るべきものも無いのでラストスパートという感じでスピードを上げて進む。 ふと振り返ると伊那前岳のほうはもうすっぽり雲を被っている。予報通りに降ってくるのも時間の問題かもしれない。

 そして時計が正午をさす少し前、北御所バス停に着いた。 時刻表を見ると11時58分にバスが出ている、時計を見るとまさにその時間だが、来ない。 ひょっとしたらタッチの差で行ってしまったのだろうか? 仕方ない、スナックでも齧るか・・・とザックを下したところで向こうからバスがやってきた。 ほぼジャストのタイミングだったのだ。

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 慌ててザックを背負い直すがストックを畳む余裕が無かった。 バスはしらび平からだろう、既に満員で甲斐駒の時同様の補助椅子座りとなった。 奥にいた高齢のトレッカー夫妻が椅子を出して誘導してくれた。
「ん?上から歩いて降りてきたの?」
「ええ、木曽福島から歩いて登って、宝剣山荘に泊まって、伊那前岳通って縦走してきましたっ」
そこまで聞かれたわけでも無いのについこう答えてしまう。それほど達成感があったのだ。 バスの中は皆ロープウェーで往復した人か、少なくとも下りはロープウェーを使った人だろう。 1人だけ北御所から乗り込んだこともあって呆れたような讃えるような視線が集まった気がした。 もちろん檜尾岳や空木岳を縦走したり桂小場から将棋頭山を縦走して登頂するルート、上松ABコースなどもっと難易度の高いルートがあるし、同じルートでもテン泊すれば重量的にはるかにハードだからこの程度の縦走で鼻高々になるのは井の中の蛙でしかないのだが・・・・。

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行くぜ木曽駒!中央アルプス!(3) ~九合目~木曽前岳、木曽駒ヶ岳、中岳、宝剣岳全部!~

 写真を撮りながらゆっくりとはいえ、水場と避難小屋で数分の小休止を取った以外にはほとんど歩きっぱなしなので流石に休憩を取ったほうがいいのだが、明らかにこれまでと違う高所の空気に興奮してもっともっと先へ行きたいという気力が勝っていた。 とりあえずエナジーバーをひと齧りし今後の方策を練る。 コースタイムよりだいぶかかってしまったがまだ正午前なのでゆとりはだいぶありそうだ。 これなら当初の予定通り木曽前岳に行ってきても十分宝剣岳まで間に合うだろう。 

 そう判断するが早いか、ザックを下ろして標識にチェストストラップで括り付けると財布とカメラだけ持って木曽前岳への登りへ踏み出した。 ここまでトレランの兄ちゃんしか会わなかったし、前にも後ろにも人気はない。 玉ノ窪山荘は休業中で誰もいない。 このザックを盗んでいくような人間はいないだろう。

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 さて、この九合目から木曽前岳まではアルペンガイドでは20分ほどと書かれていたし、下からでも頂上らしき場所は見えておりそんなにはかからないだろうと判断していた。 ところがどっこい「下から見えた頂上らしきところ」に着くと、向こうにもう2つ3つとこっちより高そうな小ピークがあるのだった。  

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 ああやっぱりね、と微妙に納得しながら次の小ピークを目指すと、二つほど先に見える棒の立っているピークが一応の最高点のようだ。 ロープが張られているしそれほど難易度があるわけではないが、左(南)側が切れ落ちており転倒・滑落したら大変なことになりそうなので慎重に進む。 で、最高点ぽいところに着いたが塗料の禿げたボロい道標があるだけで立派な山頂標があるわけでもなく、ここに立つともう一つ向こうにある小ピークが一番高そうに見える。

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ん?向こうのほうが高くね?

 仕方なくそこまで行くと祠があるのだが、こちらから見るとさっきいたピークのほうが明らかに高かった。 いちおうさらに向こうに見える小ピークは明らかにこっちより低いし、九合目からこの祠まで来たら間違いなく山頂は踏んでいるだろうという事で引き返すことにした。しかしこの余計な小ピークの分で無駄に時間を使ってしまった。 

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今度は向こうのほうが高く見える

 帰りに一番高そうなピークでもう一度写真を撮り、もう一つ山頂らしくケルンを積んである小ピークでも写真を撮ってやっと九合目に引き返した時には12時30分を回っており、往復40分どころか1時間経ってしまっていた。 ちなみに木曽前岳は御嶽山方面の眺望が開けているはずなのだが、タイミング悪くちょうどこの時下から湧き上がってきたガスにまかれ遠くのほうは何も見えなかった。 上のほうは青空が広がっているので、自分のいる2800m~3000mのあたりに雲の境界があるのかもしれない。

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小ピークから見た宝剣岳

玉の窪山荘の石垣の間の通路を抜け、いよいよ木曽駒主峰の頂上を目指す。足はだいぶ酷使しているが思ったより疲労は溜まっていないし、この登りをこなせばあとは中岳の緩やかなアップダウンがある程度でそれほど厳しい登りは残っていないので心配はない。 水も思ったより消耗していないので宝剣山荘までは十分持つだろう。  気合を入れ直し最後の急登をこなす。 最後の登りは富士山のようにロープが張られ、両脇には神社だか不動だか、立派な石塔がたくさん並んでいてこの山が信仰の山だという事を否応なく感じさせる。
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しばらく進むと岩のテラスに前をちょろちょろと飛び回っていたイワヒバリがひょいと降りてきて「さあ、撮れ」とばかりにポーズを取った。 なんて人懐っこいやつなんだ。思わず笑みがこぼれ緊張感がほぐれる。 

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そして山小屋。 頂上直下にあってこの時期でも営業している頂上木曽小屋だ。 小屋番さんらしき人から「福島かい?」と声がかかる。
 「ええ、Bコースから上がってきました」 ロープウェーを使わず自力でここまで来たことがちょっとだけ誇らしい。再び前に向き直り、すぐそこに見えた神社の小さな鳥居を通り過ぎると、そこが木曽駒ヶ岳2956mの頂上だった。 やった!

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イエーイ


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行くぜ木曽駒!中央アルプス!(2) ~大原上~頂上稜線まで~

 大変快適なYHであったが、「寝坊してはいけない」という緊張のあまりか夜中に何度も目が覚め、結局トラベルウォッチのアラームが鳴る4時前に目が覚めてしまった。 逃すと大変なことになる本数の少ないバスに乗るわけでもなく、ここがもう登山口みたいなものだから多少寝過ごしても慌てる必要はなかったのだが、後に待ち構える長丁場が頭に刷り込まれていたようだ。

 こうなってしまったらまた布団に潜っても寝付けないのは判っているので起きてしまうことにした。 腹は減っていないが全く食わずに行動開始してもすぐバテそうなので、カロリーバランスを1ブロックだけ食べ、900ccのハイドレーションと350ccのペットボトルに給水し、出発する。 時間はAM4:15、まだ外は真っ暗だ。

 YHから登山口までは1時間ほどの舗装路歩きである。 舗装路ならちょろいと思ったが、真っ暗の不案内な道だと自然と歩みは遅くなりペースは上がらない。 街灯はあるにはあるのだが、手前の街灯の気配が殆どなくなったあたりで次の街灯がはるか遠くに・・・ぐらいの間隔なのであまり戦力にはなってくれない。 そしてそういう暗い道を歩いていくうちに顔にセミのションベンのような飛沫を感じた。 ん?まさか雨?今日はまだ晴れのち曇りぐらいの予報のはずだが・・・

 不安を押し殺すように歩いていたが、そんな自分を嘲笑うかのように「ドザァー」と本降りになってきた。慌てて道路脇の木陰によってレインウェアを着込みザックカバーをかける。

 それにしても、この雨の降りだしてから止むまでの間ほど心の中で悪態をつき続けたことは人生の中でもそうなかったんじゃないだろうか。 いや、心の中だけでなく無意識に口にも出していたかもしれない。何せ8月から延期に延期を重ね、ようやくいい予報が出て出発したところにきゅうにまた予報が悪くなって、それでもまだ大丈夫なはずの時にもう雨が降ってきたのだから。

 これが奥多摩や丹沢の日帰り行だったら出発を取りやめるとかあるし、あえて「悪天になった時のための行動訓練!」と開き直ることだってできる。 大山のときはそうしてあえて雨の中を出発して後の富士山に生かされたし、天目背稜の時は後で天候が回復するという見込みもあって、その後実際に天候は回復した。 しかし今回は往復で8000円、前日泊&タクシー代で5000円以上かけているし、山小屋代も9000円近くかかる。グッドコンディションじゃないと困るのである。 それがこれからどんどん崩れていく予報で、早くも今から崩れてしまったらこの山行は徹頭徹尾悪天に祟られるとういう事ではないか。 

 すでに標高は1000mを越えているので都心部よりだいぶ寒くてもおかしくないのだが、先週に比べて全国的に気温が上がっており意外と寒くない。そこにレインウェアを着ての行動だから、いくらとっておきのゴアテックス製でサウスフィールドの安物2.5層よりマシとはいえじんわりと蒸れてくる。 こうなるともうイライラしっぱなしだ。 登山口までは幾つかペンションがあるのだが、ここでぬくぬく寝ている人のことを考えると、俺はこんな早朝から雨の中でいったい何をやっているんだと悲しくなってきた。

 空が白んでくると同時に雨はおさまってきたが、また本降りにならないとも限らないのでまだレインウェアを脱ぐわけにはいかない。 そうこうしているうちに最後のペンションを過ぎると使っていない廃屋が現れ、道路も未舗装になった。さらに先へ進むと

「共有入会地につき無断立ち入りを禁ズ」

と立派な看板が現れて通せんぼされた。 !? 立ち入り禁止と言われても困るのだが、ここ以外に登山道はあるのだろうか・・・。地図にはこの辺に神社があったような気がするが無かったし、ひょっとして間違ったんだろうか、と心配になる。 それでも不安を宙ぶらりんにしたまま進んでいくと登山ポストと道標が現れて一安心。 

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  地図にはこの登山口の手前に神社が、登山口の近くに「木曽駒冷水」という水場があったはずなのだが(画像)、夜明けの薄っ暗さに加え眠気でぼんやりしていたせいか、雨でげんなりしていたせいか、周りに注意を払う余裕が無く気づかずに通り過ぎてしまったようだ。 
 神社はどうでもいいのだが、水場はそういうわけにはいかない。特に今日は長丁場の負担を少しでも減らすために途中補給を前提にしていて、YHを出るときにはハイドレーションバッグとペットボトル合わせて1㍑ちょっとしか持ってきていない。  それでもまだ「福島Bは四合目と八合目に水場があるから慌てなくてもいいや」と深刻には考えず、登山口まで間違わずに来れたことで一安心していた。

 しかしここまで1時間10分以上かかっており、標準コースタイムより大幅に悪い。途中レインウェア着用のためにタイムロスがあったとはいえ、舗装路でしょっぱなからこれでは先が思いやられる。

 とりあえず登山道に踏み込みじわじわと登高を開始する。 奥多摩や丹沢だと取りつきから稜線に出るまでずっと深い樹林の急坂、稜線に出ると緩やかなアップダウン・・・というのが定番だが、いきなりえげつない急坂というわけではなく、じわじわと登っていく感じ。 登山道は比較的荒れていないというか、程々に歩く人がいて適度に締まって歩きやすい。 どんより曇りというかガスのせいでテンションは上がらないが本来なら気分のいい森の中のトレッキングだろう。

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 途中、落ちていた片っぽグローブを回収し、再び登高を続けるが相変わらず調子が悪い。てか眠い。既に起きてから2時間歩いてるからいい加減体は目を覚ましてもよさそうなものだが、いつまでたっても調子が出ない。 まさか風邪でも引いてるわけじゃあるまいなとは思ったが、考えてみれば普段朝の遅い自分は通常ならまだ寝てる時間帯。 早起きして登山するときでも小田急線や青梅線に乗ってウトウトしてる頃合いだから、無理やり動かしたところで普段のサイクルに慣れた体は起動しないのだろう。 頭も体も目が覚めきっていない状態で無理をしても事故る元なので無理せず進むことにしたが、こんなにスピードが出ないなら無理して起きず起床時間をもう一時間ぐらい後に伸ばしたがマシだったような気がしないでもない。

 それでも何とか最初の区切りである四合目に到着。 たしかこのへんに水場があったはずなので周りを見るが、それらしきものは見当たらない。 水場が多く吸水の心配が無いから最初に持つ水は少なめにしておいたのだが、登山口近くの木曽駒冷水をスルーしてしまったので補給できていない。 気温が低いはずの明け方ですら全く肌寒さを感じないほど暖かったのも誤算だった。 このうえ日が高くなった時に天候が回復したら気温も上がって予想以上に水を消耗してしまいそうだ。 もっとも、YHから頂上稜線まで1800mぐらいの標高差があるから上に行けば理屈では10度前後は下がるはずなのだが・・・。

 「ここに水場が無いとすると次は六合目(これは自分の勘違いで実際には八合目)まで給水できないからあんまりガバガバ飲めないなあ、節約して登らないと・・・」と早くも水の不安が出てきたが、四合目を通り過ぎて2~30分ほどしたところに『四合目半 力水』の標識があり、チョロチョロと水がわき出している場所があった。 地図には四合目に水場マークがあったが、実際にはそのはるかに上、五合目との間に水場があったのだった。

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 水はパイプから出ているのでなく、岩の割れ目から窪みにチョロチョロと湧き出している形でそれほど勢いがない。 窪みと行っても洗面器ほどの大きさも無く深さは3~4㎝程と行った所。 頼りないがここで汲んでおかないと次の水場が枯れていたりしたら山小屋まで持ちそうもないので汲んでおいたほうが良いだろう。 ハイドレーションパックにそのまま汲めるほどの深さも無いので、手持ちのペットボトルに1/3ほど溜まったところでチョビチョビと移し替えるという効率の悪いやり方を取るしかなかった。 一応カップが置かれてはいるのだが砂をかぶって汚れているし、洗おうとすると土と砂が巻き上がって濁ってしまうので使う気になれない。 時間をかけてやっとこさ1リットルほど補充し、少し飲んで減った900ccのハイドレーションパックも満タンにした。 汲むのに使ったペットボトルは1/3程度しか貯められなかった。

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 それでも水切れの心配から少し遠ざかったことに安心し再び前へ進む。 五合目の手前辺りから雲が晴れ始め、ちょいちょいと日が差してきた。  樹林帯の中なので眺望はあまり効かないが、太陽が出ると気分も少しずつ盛り上がってくる。 もっともすぐにまたガスと雲に巻かれてしまったが・・・。

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 自転車、釣り、スノーケリングにハイキングとアウトドア遊びばっかしてる不良中年です。 主な出没地域は三浦湘南、真鶴に奥多摩周辺。 

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