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奥田英朗 「ララピポ」

おもろうて やがて悲しき 下半身 



 映画化・TVドラマ化、マンガ化(ヤングチャンピオン連載「神経科医Dr.イラブ」)・・・と大ヒットした奥田英朗氏の小説「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」。 間に「サウスバウンド」をはさみ、今回発表されたのが「ララピポ」だ(書下ろしではなく不定期連載されたものをまとめた物)。

 これはオイラ的には大ヒットなのだがどうもアマゾンのレビューなんかを読むと評判が悪い。

 乱暴な分析だが、この評価の低さは「ハッピーエンドじゃないから」「オゲレトゥだから」だというのが大半だろう。 バッドエンドが嫌われるハリウッド映画を有り難がるメンタリティが日本のここそこにも現れた・・・つったら挑発的に過ぎるか。

 書店でブックカバーを外して見てほしい。黒いカバーを外すといきなり春画である。俺はコレだけで笑っちゃうんだけど、こういうの嫌いな人も多いんだなー。

 内容書くとネタバレになってしまうからちょっと控えるが、登場するのは出世作「最悪」「邪魔」から、大ヒットの「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」に至るまで共通している、「ちょっと病んだ人達」だ。 「病んだ人達」というのは完全に病気というより、理不尽なストレスや何やらの積み重なりでキレたり、冷静且つ合理的、常識的な判断ができなくなった人達のことであるが、奥田氏はこういう現代の「病んだ人」を描くのが抜群に巧い。

 出てくる人が悉くちょっと壊れているという点ではDr.イラブ登場の2作品に通じているともいえるが、決定的に異なるのは前2作に登場してくる患者達は一名を除き皆それなりの社会的地位をもち(※1)、より上を目指したり、地位を守ろうとしたがゆえにストレスがかかり、精神的にコムラ返りを起こしてしまった、当事者でなければ滑稽なものである(本人としては災難なのだが)のに対し、こちらの「壊れる」理由は本人の気の弱さや社会的地位の低さから来る理不尽且つ不可避のストレスであるという点だ。 これはちょっと救いが無い。


 また前2作は「病院行けば?」と心配したり助言してくれる友人や同僚、部下や家族がいるのに対し、本作の登場人物は揃いも揃って「金無し立場無し友人無し」(※2)の三重苦に喘いでいる事だろう(一人は金は有っても職業に誇りを持てない)。これまた救いが無い。

 それゆえ精神神経科に通うという解決策も見出せず、人の悩みを食って生きる珍獣・伊良部一郎に癒してもらえないのだから、解放感がざっくりと無くなってしまうわけだ。 前2作に惹かれた人に受け入れられないのはこの為だろう。

 どっちかといえば(俺も含めて)前2作のようにそれなりの地位を持ってる人より、今回の「ララピポ」に登場する負け組どものほうに近い立場の人のほうが多いと思うんだが、人間というのはどうも現実から目を逸らしたがるのであろうか。

 さて、さんざん「ララピポ」が大ブレイクの前2作に比べ評判の悪い理由をつらつらと書いてしまったが、本作の面白さのキモは

「上半身が壊れてしまったにもかかわらず下半身だけは本能に忠実に動こうとしている」
人間の滑稽さであろう。登場人物の殆どは解消不能のストレスのマグマが下半身に集中した為か、性欲をもてあまし、暴走している。 こういう人間が隣にいたら災難だが、又聞きに聞くぐらいだったら爆笑モノだ。余り登場人物に感情移入せず、そのぐらいの意地悪さで読むのが正解と言う事でしょう。



※1 患者さんの地位と病状は以下の通り
イン・ザ・プール

雑誌編集者(水泳中毒)
商事会社の主任クラス(陰茎剛直症)
美人コンパニオン(ストーカー被害妄想)
高校生(携帯中毒)
有能ルポライター(強迫神経症)


空中ブランコ

サーカス団のエース(坊主の雑巾がけ)
ヤクザの若頭(先端恐怖症)
将来を嘱望される大学医学部の教官(不謹慎なことがしたくなる強迫神経症)
プロ野球のベテラン三塁手(イップス)
恋愛小説家(心因性嘔吐症) 


※2
一方、ララピポの登場人物の職業

フリーライター(百貫デブで対人恐怖症。仕事も少なく生活が破綻気味)

風俗のスカウトマン

主婦で企画モノの熟女AV女優(家庭は完全に崩壊)

カラオケボックスのバイト店員(マルチや押し売りを断れない並はずれた弱気) 

官能小説の作家(援交狂い )

テープリライター(デブ女 逆ナンパして連れ込んだ男との性交渉を裏DVDにして売っている)
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tag : 奥田英朗 ララピポ

横領

愛人17人の交際費、組合員はスポンサー (日刊スポーツ.com)

 総額19億に上る着服を15年にわたってやっていたらしいが、その間のスリルはいかばかりであったろうか。

 アニータのときもそうだが、こういうニュースを聞くと、オイラは何時も被害者より加害者の感情に思いを馳せてしまう。

 破綻が約束された未来に突っ走る中年オヤシ・・・・・・想像するだになかなかロマンチックである。バーコード禿だとビジュアル的にちょっと興醒めだろうが。

 しかしねえ、オイラ、実際のところこの事件に関しては、被害者よりも容疑者のこのオヤジと同じような精神状態に置かれる人間の方が多いんじゃないかと思うのよ。 この人の場合は着服の発覚だけど、借金だったらどうだろうか。 本来自分の物では無い金ってことでは一緒でしょ?カードローンも満タン、クレカで買った新幹線のチケットを金券ショップで換金して何とか息を継いでいたり、システム金融にまで手を出して追い詰められてる人間・・・・

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族譜の果て (幻冬舎文庫)族譜の果て (幻冬舎文庫)
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 そういう借金漬けの連中の中でも、梁 石日さんの小説に出てくるような 「本来は自分のものではないカネでも、財布に入れたとたん気が大きくなって散財しちゃう」人間(作者本人&悪友がモデル)はワリとありふれていると思う。

 19億という一見ブットンだ金額まで膨らんだのは、彼の職場が恵まれていたからで(サラ金も職によってはたっぷり貸す)、そう言う視点で見るとかの着服旦那(ハゲと読む)とパンピーの間には薄皮一枚程度の差しかないのではないかと思えてくる。

 それにしても この17人のうち2人が二億円近く受け取っていた(マンションの家賃とかだろな)そうだから、まずこの辺は世間一般で言う「愛人」といって差し支えないと思うが、その2人以外のうち何人かの女の子は
「愛人?ちげーよ。あのオヤジは財布。財布」(@桐野夏生)
なんつってるのではなかろーか。だとしたら、その分は差っ引いて、正確な数字を出して報道していただきたい(なーんてね)

綺麗なお姉さん

愛と青春の成り立ち (ビッグコミックス)愛と青春の成り立ち (ビッグコミックス)
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秋重 学

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 スピリッツの不定期連載の傑作に「愛と青春の成り立ち」(原作・川崎ぶら 作画・秋重学)という作品がある。 主人公はアマチュアバンドのドラマーだが、音楽が大好きだけど無理して音楽で食おうという気負いも無く、とはいえ投げやりでも無くワリと一所懸命やってるのでしっかり学校の成績を落としていたりというなかなか愛すべきキャラクターだ。 

 音楽以外にこの主人公が日常的に遭遇したちょっとした事柄に対する反応が絶妙なのだが、そんなかでも特に「おおっ!これあるこれある!」なのが、

「今日は調子がイイ日美人day。街行く女の子もクラスメートも美人に見える」

ってやつ。 「調子がいい→気持ちもやさしくなる→女性が綺麗に見える」なのだが、逆もまた真なりで、「美人に多く遭遇する→ついてる→気分がイイ→調子が良くなる」のだ。 バカな男(つまり殆どの男)はこういうところがある。 電車に乗って、向かいの席に座った女性が美人だったりするとたいていその日はオッケーな日になってしまう。

 さて、かようにバカな男の一日の気分を決定付けてしまう「綺麗なお姉さん」達であるが、最近、「綺麗なお姉さんって大変だな~」としみじみ思ってしまうのだ。 

 何故なら。

 ヤローはちょっと汚い&だらしない がデフォルト
 女性は清潔&おしゃれ がデフォルト

 だからだ(そうじゃない人もいるけど、少なくとも東京23区内で電車乗ってるとそう思う)。 いつもダイクマとかダイエーとかユニクロの服を着てるヤローがたまにイイ服を着ると「おっ」と思われるが、何時もそれなりにおしゃれして綺麗に化粧してる女性は、「それが当然」だからさらに上を目指すときにはより努力しなきゃ行けないし、うかつに手を抜いたとき「NG!」を出されそうである。
 跳び箱で4段から5段に上がる大変さより、ブブカやイシンバエワが棒高で1cmUPする方が大変なのと同じ事だ。
 
 また、野郎はカッコ悪い同性がいると安心して一緒に同じレベルに落ちていくだけ(ま、限界もあるけど)だが、女性はそうもいくまい。 ま、これはオイラの姉貴がアパレルの仕事してるからそう感じるだけかもしれないけど、あながち間違っちゃいないと思う。 汚いかっこしてる同性への批判の目はおそらく女性の方が厳しいんじゃなかろうか(姉貴なぞ、平気で「伊東美咲は私服だと野暮ったくてセンス無い」とかのたまう)。
 

 普通の人ですらこうなのだから「キレイ」を生業にしてる人の大変さは想像を絶する。
うちの店のお客さんでキレイの筆頭であるAさん、この方は声も可愛らしく、スリムで美白と三拍子揃っており、


お付き合いを前提に結婚したいっ!!


↑え?


ような方なのだが、職業柄(エステティシャンらしいです) 「日焼けしちゃ駄目なんですぅ」と言う。旅行のときでも、だ。



え?日焼けしちゃいけないの?

 真夏にやっとヘルメットにバンダナを挟む程度。黒焦げになるようなトレーニングのときですら5回に4回は日焼け止め(←オカンが使ってるちふれのやつ。べとついて不快)を忘れるような迂闊者のオイラではとても務まらぬ。 
ま、日焼け以前にオイラの場合は53kgから69kgまで増量する時点でアウトだろうが(理由はわかっている。高梨の徳用アイスとドリトスとワカモレディップが犯人だ)、キレイというのはなかなかに大変なものだなぁ、と思う。

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 現在、ヤングマガジンに連載中のこのマンガが面白い。まだちょっと絵が荒いが、それもパワーに見える勢いがある。
 歌舞伎町を舞台に風俗店に女の子を紹介する新人スカウトマンが主人公だが、そんな仕事をしている主人公が、「女なんか商売道具でしかないね」というスレた人間じゃないのが面白みの源泉となっている。 
 主人公の白鳥君、もっと言えば「この仕事向いてないんじゃないの?」というぐらい間抜けでお人よしなのだ。借金漬けの女の子を店に紹介した後で、 「ああ、あの子はそのうちスレてもっと手っ取り早く稼げる店に行きたがるようになっちゃうんだろうな、こんな事して良かったのかな」などとクヨクヨ自問自答していたりする。

 さらににはホストクラブにツケの山を築いた女の子に騙されお金を貸した挙句、トンズラされ、紹介料すらもらえず、家賃が払えなくなってアパートを叩き出されたしまったりする。

 渋谷や新宿なんかを歩いていて女の子に声をかけまくってるジゴロ風のヤツを見かけると、堅気の仕事をしている人であれば( ゚д゚)、ペッ程度の感情しか持たないだろうが、これを読んだ後だと心なしか彼らに向ける視線が優しくなってしまいそうだ。

 何でも、女の子をお店に紹介した後、その子が10日以上働かないと紹介料をもらえないそうで、軟弱そうに見えて意外と大変なんである。 大体、借金まみれになって二進も三進も行かなくなって夜のお仕事をしようなんて人間はだらしが無く厳しい仕事も続かないから、仮にスカウトが成功しても自分の収入になるまでは管理(監視)しないといけないわけで、こちらが思ってる以上に効率が悪い。

 そういえば、渋谷でやたらと声を掛けまくってる人間は私服のナンパ師とこういったジゴロ風のスカウトマン(もしくはキャッチセールス)、がいるが、前者がまさに手当たり次第なのに比べ、後者のほうは明らかに「意思もおつむも明らかに弱そう」な子にターゲットを絞って声を掛けているように見え感心した記憶があるが、やはりプロというか生活がかかっていると違うんだね。

20年がたつわけだが

欲望の破綻―サラ金の中の日本人 (1984年)欲望の破綻―サラ金の中の日本人 (1984年)
(1984/09)
江波戸 哲夫

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 この本が出てから21年(文庫版は19年)が経つ。僕が小学生の頃、サラ金問題というのが凄まじい社会問題化していて、TVのワイドショーでも「杉山会長」という名物サラ金オーナーが札束を記者に投げつけて怪気炎を上げていた。

 サラ金規制2法が成立する前で、利息制限法すら全く無視されていた時代のルポなので凄絶さは現在の比ではない。 しかし、そこに登場する人間はやはりどこかしら現在の「破綻者」と通じるものがある。
 実例がいくつもルポされているが、破滅に至る最大にして最悪の素質は 見栄っ張り だ。

 金が無いくせに高価なものをローンで買う、既に借金漬けになっているのに連れ合いにも事実を隠し一人だけで解決しようとする等々・・・。

 そしてもう一つ重要なのが、 「借金がそのまま人格になっていく」

 サラ金を描いた作品は小説・漫画多々あるが、リアリズムが生まれるかどうかはこの辺をちゃんと描けるかだろう。青木雄二の「ナニワ金融道」、梁 石日の「族譜の果て」、桐野夏生「OUT」はこの辺のポイントが非常に高い。 
 既に絶版になっているので入手は難しいが、これらの作品を読まれるかたはには是非併読をおすすめしたい。

 破綻する人間だけではなく、悪辣と思われていながら、思いの他のんびりした紹介屋(何処からも相手にされない多重債務者がたむろして酒を飲んでたりする)や、「脅したって殴ったって無いとこから取れっこないですよ。相手の暮らしが立つような方法考えてやらないと」と悪質業者をせせら笑う優秀な取立てマンへの密着など、読み応え満点である。
プロフィール

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Author:piccoli
 自転車、釣り、スノーケリングにハイキングとアウトドア遊びばっかしてる不良中年です。 主な出没地域は三浦湘南、真鶴に奥多摩周辺。 

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